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今回の予選を、地域に分けて総括してみたい。
なお地域の区分については、基本的に外務省の「各国・地域情勢」に準拠している。
1. アジア・中東
インド以東とそれより西で、完全に明暗が分かれた。
東アジアの強さはまあ当然か。地理的にも近く、なじみの深い国・地域ばかりが並び、僅差で予選落ちのモンゴル以外はことごとく本選行きを決めている。票数でも、圧倒的なタイワン、さすがの日本、そして中朝韓と、二桁得票が五カ国・地域を数えた。ただ朝鮮半島の両国については、「好感度」とは微妙に異なる投票がかなり見受けられた。
東南・南アジア勢も、多くは順調に票を集めている。シンガポール等の小国が振るわなかったとはいえ苦戦らしい苦戦はそれぐらいのもので、落選とはいえインドネシア、カンボディア、ラオスはすべて一票差負けだった。
それがインドより西のアジア勢は、トルコを例外として、一転して大苦戦。本選に駒を進めたのはトルコを含め3カ国のみ。あとはパレスチナ、クウェイトが後一歩まで行ったくらいで、ことごとく枕を並べて討ち死にといった体である。アフガニスタン、イラクなど旬の話題のある国も、それが当選票を集めるまでにはつながらなかった。そんな中サウジアラビア、アラブ首長国連邦が本選進出を果たしたのは、組み合わせに恵まれたのも大きいが、大産油国として欠かせない存在であることも効いているように思う。
アジア全体では、二桁得票だけで10カ国、本選進出は19カ国を数えた。反面、パキスタン、シリア、カタルの3国は一票も取れずに終わった。
2. アフリカ
アフリカ勢は、ベナンのようにすさまじい得票を見せた国もあるにはあったとはいえ、全体としては苦戦した。
やはり知名度が低いのが災いしている感がある。それは現状をかんがみれば仕方がないにしても、カメルーン、エジプト、ケニアといった、それなりに知名度があり票を取れそうな国が、組み合わせに泣いたり競り負けたりで敗退しているのが追い討ちをかけている。
結局アフリカ勢の本選進出はベナン、ガーナ、エティオピア、エリトリア、ガンビア、テュニジアの6カ国のみ。それも組み合わせに恵まれた観がぬぐえないものも少なくない。ガーナなど、アフリカ勢としてはベナンに次ぐ8票とったとはいえ、同じ組のエントリー6カ国中4カ国がアフリカ勢。これでアフリカ勢が全滅するほうがおかしいという状況だったのである。もっとも本選にいけそうでいけなかった国が少なからずあったのは既述のとおり、差し引きすると妥当な線なのかもしれない。
逆に、1票も取れなかった国がリビア、モロッコ等11を数えたのをはじめ、多くの国は1、2票にとどまった。
3. ヨーロッパ・旧ソ連
ヨーロッパ勢は、アジア勢に勝るとも劣らぬ快進撃を見せた。
予選二位の大量得票のドイツ、選対の支えのあったアイルランド・ポーランドをはじめ、有名どころは大体が快勝している。
ヨーロッパ勢が二カ国出てきてもきっちりとワンツーフィニッシュを決めたり(同時に2カ国の欧州勢が本選に進んだ組は片手に余る)、小国の躍進が目に付いたりといったところを見ると、予選においてもっとも好調だった地域とも思える。旧ソ連を除く欧州勢は37カ国がエントリーしたが、うち本選進出が二桁得票8カ国を含め28カ国を数えた。
思うにこのヨーロッパの強さ、なじみの深さもさることながら、ヨーロッパの国は個性がはっきりしている、いわば「キャラが立っている」ことによるのではないかと思う。それゆえ、「この国のどこが好き」という主張がしやすいということがあるのではなかろうか。
それにひきかえ、目に付くのが旧ソ連勢の不振ぶり。
ロシア連邦はさすがに大国の意地を見せ本選に進んだが、それでも三位に一票差の4票どまり、一歩間違えば本選行きすらかなわぬところであった。他の旧ソ連勢は予選で全滅、そればかりか得票ゼロで終わった国が15カ国中6カ国もあるのだ。
確かにソ連崩壊により独立して日が浅いということはあるが、それでも十年以上たっているわけで、なおかつ同じく解体から十年余の旧ユーゴースラヴィア勢は、ほかのヨーロッパ諸国に比べれば振るわなかったとはいえ、それでもユーゴ、クロアチアが一位で本選に進んでいるし、票が最も少なかったマケドニアでも2票取っている。
不振の元凶は、組み合わせに恵まれなかった(知名度の高い国の多い激戦区に配されたケースが目に付く)こともあるが、それだけで片付けられるものでもなく、やはり個々の印象が薄いということではなかろうか。確かによくよく見てみればそれぞれに魅力ある国々であることは、支援物資等からも読み取れるわけだが、それがあまり知られていない。
本稿でも「旧ソ連」というくくりが生きている。本稿だけでなく、外務省の各国・地域情勢のページでも、「ヨーロッパとNIS諸国」でひとくくりにされている。「ソビエト連邦」のインパクトが、それだけ巨大だったということだろうか。
4. アメリカ大陸
アフリカ・旧ソ連と並び、苦戦を強いられた地域である。
特に南米がひどかった。予選通過はアルゼンティンのみ。僅差で敗れたパラグアイやブラジルは、最後の最後で蹴落とされた形でなんとも惜しい。
組み合わせにも恵まれなかった。アメリカ大陸勢の有力国同士のつぶしあいになるパターンも目に付いた。16組のアメリカとブラジル、27組のコスタ・リカとメキシコがそれで、それぞれ後者が予選で消えた。
アメリカ大陸全体で決勝に進んだのは7カ国。中米・カリブ海の小国が目立つ。アルゼンティンの8票が最高で二桁得票はゼロ。キューバなど4カ国が得票なしに終わった。
このアメリカ大陸勢の不振は少々意外ではある。知名度は決して低くないし、また親日という点においても、ラテンアメリカには移民の受け入れ等の関係で対日感情のよい国が多いことは支援物資でも強くアピールされていたところである。結局のところラテンアメリカ勢は、運がなかったことに加え、地理的距離や影響力の小ささによるなじみの薄さと、個々の国の独自色をいまいち打ち出しきれなかったことが敗因になったのではないか、と一応の結論を導いておく。
5. 大洋州
オーストラリア、ニュージーランドという大所があっさり予選で消える中、健闘したのが小さい島国である。
強い親日イメージのあるパラオ、危機的状況が投票者の心を向かわせたナウルは、それぞれ二桁得票をマーク。その他、中には組み合わせに恵まれたケースもあるが、オセアニア全体ではエントリーした16の国・地域のうち、半数を超える9カ国が本選進出を果たしている。地域別に見るとアジア、ヨーロッパに次ぐ善戦といえる。
考えてみれば、この地域は地理的に日本に近く、先の大戦では戦場になるなどわが国とのつながりは深い。ただ知らない人は知らない国々でもある。そんなわけでこの地域の国は、大量票を稼ぐ国とそうでない国が特にはっきりと分かれた点も特徴的だったように思う。
予選で登場したのは、198の国と地域。うち70の国・地域が本選トーナメントに駒を進めた。ここからが、本当の激戦となる。多くの場合一対一で雌雄を決する戦いであり、各国の本当の魅力が試されることになろう。
一方で、予選で消えた国も、たとえ一票も取れなかった国であっても、それぞれに魅力をもっている。その魅力を十分に発揮せぬまま、戦場を去っていくのはなんとも惜しい。予選落ち国のみ集めてのバトルロイヤル戦などをやったらどうなるか、できることなら見てみたいような気もする。
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